- リンパ浮腫 - なかなか減らない3つの理由


リンパ浮腫となってしまったのでセルフケアを実践しているがなかなか浮腫が良くならないという悩みをお聞きします。それにはいくつかの理由があります。
 
◎浮腫の状態がセルフケアの適応範囲を越えているのにセルフケアしかしていない
 
リンパ浮腫の場合に自己管理の実践がとても重要ですが、セルフケアには限界があります。セルフマッサージを行って、圧迫ストッキングやスリーブを着用してむくみが軽減されている方のケースは症状の軽い方です。患肢の左右差がそれ程大きくなく、柔らかいむくみの場合は、全般的な注意事項を守りセルフケアを行う事で大丈夫なことがあります。しかし、浮腫の状態が厳しくなっても相変わらずセルフケアしかしていない場合には、次第に浮腫が増加しがちです。むくみが長期間続くと皮膚が伸びたままになったり、結合組織が増えて太い状態で安定してしまいます。その状態の時にむくみ増加の要因が加わると、さらにむくみが増加してしまいます。その後、むくみ増加の要因が無くなってむくみが減っても、増加した組織や伸びきった皮膚は元に戻らないので、体には基本的にむくみを受け入れ易い条件が備わってしまっているのです。ですから、リンパ浮腫の状態がセルフケアで軽減できない時は、専門家による積極的な治療を受けた方が良いと言えます。
セルフケアはどちらかと言えば、ある程度浮腫が軽減された後の維持段階、または浮腫が発生するリスクを持った方の予防段階で行うのに適した方法といえます。
 
◎治療回数が少ない
 
リンパ浮腫でむくみを軽減して行く場合には積極的な治療が必要です。日本では難しいのですが、一定期間に集中して積極的な治療を行う過程が必要です。むくみの状態は個人差・個体差が大きく、何回・何日で充分という明確な指標は無い事が問題となります。しかし、ドイツでは数週間単位での入院治療が行われている事から考えると、治療回数が多い方が有利だといえます。日本の様に通院治療が主となっているケースではやむを得ないのですが、浮腫の状態が厳しいのに月に1回程度しか治療できない様な治療回数不足の場合では、効果が上がりにくいのが現実でもあります。また、入院治療では生活上の活動は最小限で済むので、浮腫増加の要因は少なくて済みますが、通院治療ではどうしても活動が多くなります。つまり、活動量に比べて治療する量が少なくなります。時間的・経済的な制約は仕方ありませんが、積極的な治療の回数は浮腫減少に大きく係わってきます。
 
◎正しい治療が行われていない
 
マッサージ・ドレナージュ
特殊なマッサージ方法であるリンパドレナージュは体の表面い近い所にあるリンパ管などに作用させる方法で、ごく軽い圧とゆっくりとしたリズムで行われるものです。皮膚と皮下組織を「ずらし」動かす方法であって、皮膚表面を「さすったり」「なでたり」「こすったり」するものではありません。マッサージ方法のイメージを伝えにくいことから、皮膚を「さする方法」でセルフケアを教えているケースが見受けられますが、正しい方法ではありません。オイルを使った方法もリンパドレナージュとは言えません。基本的な考え方と方法を理解してマッサージを行わないと効果は上がらず浮腫の軽減が難しいのです。
圧迫治療
使用している弾性包帯が間違っている。
浮腫軽減のための圧迫治療では第一に弾性包帯があります。浮腫減量期にこれを行う事が必要なのですが、手軽でない事、適切な圧が難しいなどの理由から敬遠されがちです。また、弾性包帯を使用している場合でも、包帯の伸び率(伸縮率)が高い、つまり良く伸びる弾性包帯はリンパ浮腫の治療には向きません。リンパ浮腫の治療には動いた時・筋肉が太くなる運動時に抑えとなる作用が求められています。良く伸びる包帯の方が巻きやすいのですが、運動時にも筋肉の膨張と一緒になって伸びるので抑えが利きません。その様な伸びの良い包帯は静脈瘤や血栓予防の場合など、動かない時に圧が作用する事を求められる治療に使用されるものです。圧がかかっていてもそのかかり方に違いがあり、適切な材料でなければ効果が上がらず浮腫が減らないのです。
圧が均等でない。
全体に均等に圧がかかっていない場合にも効果が期待できません。むくみは圧が強い部分からは逃げ、圧迫力の弱い部分へ移動するものです。そのため全体を均等に圧迫できないとデコボコになってしまいがちです。またクルブシや膝裏など骨のでっぱりの周囲は弾性包帯でも圧のかかりにくい部分となり、浮腫が残ることも多くあります。弾性包帯を上手に巻くには経験が必要です。自分自身で行う場合でも巻いた回数が多い程上手に巻けるようになるので、諦めずにチャレンジしましょう。
弾性ストッキング・スリーブの使用上の注意。
本来、圧迫ストッキングやスリーブは細くなった状態の維持のために使用されるべきもので、その場合個人的に異なる浮腫の状態に合わせたオーダーメイドのものが優れています。しかし計測時には適切な圧であっても浮腫の増減が激しい場合には適合しないケースが出てきます。そういった意味からもストッキングやスリーブは浮腫の状態が落ち着いた時に維持する方法として着用するものです。既製品の場合は必ずしもその人の浮腫の状態に合っているとは言えない場合もありますが、経済性や入手のしやすさで優れています。
弾性包帯は効果は上がりますが手間がかかったり、ズレた場合に直しにくいなどの短所があります。そのため弾性ストッキングやスリーブは外出や仕事などで利用する時には非常に便利です。これらの特徴を理解して上手に使用しないとむくみを減らすことは難しいと言えます。