具体的な10の注意



浮腫の方、全般に注意すること
①一部分をきつく締め付ける下着や、ゴムのきつい下着は着けない。
②蚊や虫刺されに気をつけ、予防する。さされた場合は直ちに手当てする。
③むくんでいる部分に負担をかけること(腕枕・正座など)をしない。
④しもやけ・火傷・日焼けを予防。
⑤アレルギーや肌に合わない化粧品に注意。
⑥むくんでいる部分を激しく使うスポーツは避ける。
⑦むくんでいる四肢には注射も控える。
⑧強く揉み込むマッサージはしない。
⑨長時間同じ姿勢を続けない。
などです。
また、旅行などで一時的にむくみが出ても、休養を取り、きちんと治療し、浮腫の管理を続けることが大切です。

 


むくみの状態


一般的にむくみは、朝の状態の方が夕方や夜より良い場合が多いと言えます。一つには寝た方が心臓へリンパ液が戻りやすいからです。立ったり座ったりしていると、心臓の位置は脚や足よりも常に高い位置にあるために、血液やリンパ液が心臓に戻るということは重力に逆らうことになり停滞しやすくなります。寝た状態では心臓の位置は脚や足、腕もほぼ同じような高さに位置するので、血液やリンパ液が戻りやすくなることは理解しやすいと思います。また、疲労はむくみを増やす要因でもあり、疲労回復の為に横になればむくみも減少します。健康な方でも立ち仕事や多く歩いたりした場合にむくみが出ますし、脚を挙げて横になると気持ちよかったり、むくみが無くなることは経験がおありだと思います。
リンパ浮腫の方はこの回復力が健康な方に比べ落ちているので浮腫状態が続くのですが、少しでも負担を減らすために疲労回復を図ることが必要です。また、今までは簡単にできていたことでも負担になっている場合もあることに留意して、意識してこまめに休憩を取り体をいたわることが大切です。
むくみは常に一定状態を保っているわけではなく、その日・体調によって状態が変化しているものです。むくみの増減で一喜一憂せずに、むくみを体調変化のバロメーターとして考えて健康管理に役立てることを考えましょう。

  


炎症に注意を


むくんだ状態が長く続くリンパ浮腫の方が急な発熱といった炎症を起こす場合があります。「蜂窩織炎」と言われるものです。午前中は何ともなかったが、午後におかしいなと感じ、夕方には38度以上の熱が出て、体が震え、むくみの部分が真っ赤になってしまったという方もいらっしゃいます。その他にも数か月に一度とか年に一度は炎症症状を起こすという方もいらっしゃいます。リンパ浮腫では炎症に対する心構えが大切になって来ます。炎症が起きた場合は直ぐにお医者さんにかかり、治療することが必要です。また患部を冷やすことも重要です。何が急な炎症のきっかけになったか、はっきりとは分かりませんが忙しくしていたとか、旅行から帰ってきてすぐだったなど、体力が落ちている時に発生するケースが多いように思います。自分で思っている以上に疲労が蓄積している場合も多く、リンパのマッサージなどの健康管理が大切となって来ます。炎症を起こさせないように注意することは、以後の体の負担を減らし、浮腫の悪化を防ぐことにもつながります。 

 

浮腫の状況・状態よるケア内容の違い



リンパ廓清(切除)術後の浮腫の発生状況によってケアの内容は若干違ってきます。
①入院中も退院後も浮腫が出ていない場合、将来「むくみ」の出るリスク要因は持っているということを自覚する事が大切です。2~3割と言われているリンパ浮腫の発症率ですので、逆に7割程度の方には浮腫が発生しないと言えます。あまり過度に怖がる必要はありませんが、浮腫は発症しないに越したことはありません。今までよりは少しだけ気を付けて生活することで、浮腫発生のリスクを下げることが可能です。今までは出来ていたことでも無理をせずにゆっくり行う事が秘訣です。疲れを感じたら休憩を多く取りましょう。
②入院中に一時的にむくんだが、それ以後は退院してもむくみは出ていない場合、①の場合とほぼ同じケア方法と言えます。ただ、①よりもむくみの発生に気を付け、セルフケアを取り入れることをお勧めします。
①・②の方は必ずしも圧迫ストキングなどを着用する必要はないと考えますが、負担に感じなければ予防のために軽いサポートストッキングの着用は悪くありません。ちょっとした注意でその後の面倒なケアを防止するという考え方です。
③浮腫がたまに出るが、いつも出ているわけではない場合は要注意です。セルフケアは必ず実践しましょう。浮腫の発症の仕方には突然発症して引かなくなってしまう場合と、出たり引いたりしながら引かなくなって継続してしまう場合とがあります。油断は禁物です。リンパ浮腫は完治が言えない病気ですので、発症しないように予防することが重要となります。この段階できちんとケアをすることで浮腫の発生を抑える事が大切です。
④むくみを繰り返す場合は③の場合よりもリンパ浮腫に近い状態です。セルフケアは必要ですが、一度は治療を受けて正確なケアを学習し実践する必要があります。出来れば間隔は空いても定期的にチェックを兼ねた治療を受け、良い状態を維持することでリンパ浮腫を防いで行く必要があります。
⑤浮腫が継続している場合、つまり「リンパ浮腫」になっている場合には積極的な治療が必要です。増えてしまったむくみを減量する為には弾性包帯を含む集中的で継続的な治療を行わなくてはなりません。減量の効果を実感出来るのに時間がかかる場合もありますが、常に自分のむくみの状態に注意していると変化を感じられるようになります。更に細くなった状態を維持出来るよう、セルフケアはもちろん圧迫着衣の着用などの日常生活でのケアも続ける必要があります。浮腫の状態を定期的にチェックをすることは④と同じです。


圧迫弾性ストッキング・スリーブ、弾性包帯治療

リンパ浮腫治療で使用する圧迫療法には弾性包帯と弾性ストッキング・スリーブがありますが特徴には若干違いがあります。特にリンパ浮腫治療の初期段階では、その時々に変化する浮腫の状態に対応出来る弾性包帯が優れています。弾性包帯の圧力も常に一定に保てるわけではありませんが、患肢の形に合わせたり、きつく感じる場合には圧を加減したりできる融通性がありますし、スポンジなどで補助することも出来ます。 弾性ストッキング・スリーブはたとえサイズに合わせたオーダーメイドであったとしても浮腫の状態の変化が大きい場合には不利となります。また、既製品の場合はその人ごとにむくみ方の違う患肢に合わせることが不利な点と言えます。そのため、ある程度浮腫が減少して安定した場合にストッキング・スリーブを使用する方が効果的となります。活動性や利便性の面で、また経済性の面でもストッキング・スリーブが優れているため圧迫着衣が主となっていますが、浮腫を減少させたい場合には弾性包帯とのコンビネーションも有効です。外出時や活動時は弾性着衣を使用し、外出しないで家にいる時間が多い場合には弾性包帯を巻く使用法です。巻き方は慣れることが必要ですが、難しく考えずにチャレンジすると良いと思います。ドイツの治療でも書きましたが、入院治療後期の安定した状態になって退院後に使用するのが弾性着衣といえます。
 

 

浮腫の様々な状態



リンパ浮腫でもむくみの出る部位は様々です。手術などによってダメージを受けているリンパ管やリンパ節は腋の下や腹部・ソケイ部ですので、体幹部に近い方がむくみがより多く出現すると思われますが、実際には色々なパターンがあります。むくみが多く、他の部位よりも部分的に太くなっていることを「強調」と言います。
下肢の場合、
○大腿部から足・趾まで全体の浮腫
○大腿部から足首までに浮腫が多く、甲には浮腫が少ない
○大腿部だけに浮腫があり、膝下の浮腫は少ない(大腿部強調)
○大腿部は浮腫が少ないが、フクラハギや足の甲・趾に多い(下腿強調)
○足・甲だけに浮腫が多い(足強調)
上肢の場合、
○上腕から手の甲・指まで全体の浮腫
○上腕に偏った浮腫(上腕強調)
○肘から先、指までの浮腫(前腕強調)
○手の甲・指だけの浮腫(手掌強調)
などのパターンがあります。
リンパマッサージは強調されている部位に多くの時間をかけます。また、弾性包帯の時にできてしまった患肢のデコボコもマッサージで補正できます。補正した上で圧迫を加えると効果的です。圧迫療法は強調部位に応じた圧迫を加えることも出来ますが、部分的な圧迫は他の部位にむくみが移動する可能性があるので慎重に行うことになります。

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