「むくみ」は体から出てくる老廃物を含んだ液体の量が、体から排出される液体の量を上回って組織の間に停滞している状態です。つまり、運び出されなければならない物質の量が多すぎたり、運び出す能力が減少してしまった場合に出る積み残しが、組織の間に溜まってしまっている状態が「むくみ」です。
老廃物を運び出す役割の90%は静脈が行っていて、残りの10%だけがリンパ管系が行っています。つまり輸送ルートのほとんどは静脈が行っているのです。リンパ管は静脈で運べない大きなサイズの老廃物を排出するルートで、いわば「粗大ごみ」のルートです。
リンパ管は組織間からの液体を取り込み、心臓へと運んでいます。この輸送ルートが手術その他のために障害され、輸送に支障をきたし浮腫が長期間引かない状態が「リンパ浮腫」です。リンパ管による組織液の①「取り込み」と②「送り出し(輸送)」を促進するのがリンパ浮腫の治療です。
具体的には①と②を活性化させる「リンパドレナージュ」という特殊なマッサージと「圧迫」や「運動」をあわせて行い、疲労や体調不良の際の体調管理と休養といった健康管理をして排出される液体の量を抑えることが治療法となります。 


 

いったん「リンパ浮腫」となってしまった場合は、完治ということは言い切れません。リンパ管などが障害されても、体がそれを補って正常な状態を保とうと様々に補填機能を発揮します。この補填機能が充分であればむくみは出現しませんが、むくみが発症するということはその新たな機能が充分でないことを示していると考えられます。一旦むくみが減少して良い状態になっても、疲労が溜まったり、体調が悪かったりなどして減少していたむくみが再び発生してくることもあるのです。そのため「リンパ浮腫」が再び起こらないという意味での「完治」ということは言えないのです。しかし、むくみが出る前の「良い状態」に近づけそれを維持することは可能で、そのことが治療であり、数か月ごとに定期的にチェックを兼ねた治療で良い状態を維持して行くことが目標でもあります。継続的な治療で良好な状態を維持している方も多くいらっしゃいます。その際には圧迫ストッキングやスリーブを着用するなどのご努力も必要となってきますし、休憩を多く取るといったケアをすることも大切になります。


 

リンパ廓清(切除)の手術を受けた方で「リンパ浮腫」になる方は2~3割程度とも言われています。つまり、その様な治療を受けた方が必ずリンパ浮腫になるわけではないのです。手術の程度や個人差により、発症の可能性は非常に大きく異なるので発症するかどうかは一概には言えません。術後すぐに発症する方もいらっしゃれば、5年・10年経って「リンパ浮腫」となる方もいらっしゃいます。ですから、現在までリンパ浮腫を発症していないから今後も発症しないとは言い切れないのです。
一つ言えることは、その様な手術を受けた方は「リンパ浮腫」となるリスク(可能性)はお持ちだということです。絶対にリンパ浮腫になると言えませんが、今後発症する可能性がゼロだとも言えないのです。だからと言って不安になってばかりいても仕方がありません。むくみが出ていないということは、上手に管理して行けば発症せずに済む可能性があります。大切なのは「リンパ浮腫」を発症させない事で、そのためのちょっとした注意を心掛けることです。軽めの圧の圧迫ストッキングの着用など、予防意識を持って生活することが一番です。


 

浮腫がある場合と無い場合とで注意・ケアすることに特に違いは無く、どちらの場合でも同じです。既に浮腫の出ている方は積極的に治療しないと浮腫の軽減が難しく、感染症などによって浮腫が悪化する可能性も高いと考えられます。浮腫が出ていない方でも浮腫を発症させない為の努力は重要で、いったん発症してしまうと「完治する」ということが言い切れない事は上に書いた通りです。元の状態に回復するのに時間がかかるので、そうならないための予防が大切であり気を遣う必要もあります。


 

リンパ浮腫は命に係わる疾患ではありませんが、浮腫が悪化する可能性があります。感染症により高熱が続き、浮腫が真っ赤になって腫れあがり、皮膚がパンパンになる蜂窩織炎などを繰り返すケースも見られます。体に対する負担が大きくなり入院や寝込んでしまうなど、日常生活に支障をきたすことになります。このような感染症を定期的に繰り返すこともあり、 上手に手入れをしてあげることは必要です。また、浮腫が悪化しないような生活パターンを見つけ出すことと共に定期的なチェックをすることは大切であると言えます。どの様なことに気を付け、どの様なケアをするのかを実際に知るためにも、一度は専門的な治療を受けてみることも良いと思います。 
 


 

 

 
リンパ浮腫の場合に患部を温めることは避けた方が良いと言えます。皮膚が赤くなる充血状態はその部分に血液が集まってきている証拠です。一見、血液循環を良くするとリンパ浮腫にも良いように思いますが、血液循環量の10%がリンパ液となるため、血液循環量が増えてしまうと当然発生するリンパ液量も増えてしまうのです。運び出す能力が落ちてきている時に、運び出さなければいけないリンパ液という荷物を増やしてしまうことで、運び出せずに置き去りにしてしまう荷物が更に増えてしまいます。このことはむくみの出ている四肢だけでなく、その付近(関係する部分)にも言えます。例えば右下肢がむくんでいる場合に右ソケイ部に関係する右下腹部に対して当てはまるということです。
逆に言えはこの場合上半身をホットパックする事には関係しないとも言えるのですが、全身を強く暖めるサウナや熱い温泉などは浮腫に良くない影響を与えます。
ただ、海外の方々のようにシャワーだけで済ませるのではなく、お風呂の習慣がある日本人に対してお風呂もやめましょうということではありません。お風呂に入る場合には、熱いお湯に長く入らないということです。これはあくまで浮腫の増加に対しての注意です。
では、冷やすことは良いのでしょうか?冷やし過ぎるとリンパ管が行うポンプ作用を減少させてしまうので、リンパ液を運び出す能力が減ってしまいます。炎症が起こって患部が真っ赤になって熱を持っているケース以外は避けることになります。
結局、暖め過ぎも冷やし過ぎも良くないということです。
プールなどでの運動療法を行う場合には、圧迫療法と運動療法を兼ね備えるのですが、水温は22℃から30℃位が適温であるともいわれています。

           ページトップへ